「薬局の理想郷」と称され、霞が関からほかの薬剤師会まで見学希望が引きも切らないのが、長野県上田市を中心にカバーする上田薬剤師会(飯島康典会長)だ。上田の取り組みはいま国が推進している、かかりつけ薬剤師など諸政策の原型となっている。
大病院の周辺で調剤のみを専門で行う門前薬局は、上田にはほとんど存在しない。薬局が一つの病院や診療所から受け取る処方箋の割合を見てみると、全国平均では75%に上るのに対し、上田では30%程度と大幅に低い。実際、上田薬剤師会の薬局は、平均で月80超の医療機関からの処方箋を受け付けている。どの薬局でも一般用医薬品(OTC医薬品)を豊富に取り扱っている。
まさに医薬分業の理想だが、実際に個人薬局がこうした体制を整えるのは容易ではない。病院でも診療所でも相手が一つなら相手に合わせた薬さえ用意すれば事足りるが、相手が多くなればなるほど、準備しておかなければならない医薬品は膨らむことになる。
上田の薬局の平均備蓄医薬品数は1900弱と全国平均のおよそ倍。備蓄数が増えるほど廃棄数の増加にもつながりかねないが、そこで生きるのが、「上田薬剤師会は一つのチェーン薬局のようなもの」(飯島会長)とされる地域薬局間の強固なネットワークだ。余った薬は会員用のホームページや会運営の薬局を基点に、会員薬局間で融通し合って対応している。
自浄作用の発揮こそ薬剤師会の役割
こうしたネットワークは一朝一夕に作られたものではない。上田薬剤師会が医薬分業に取り組み始めたのは1950年代。まだ処方箋発行などほとんどない時代から先行して取り組み、少しずつ医師の理解も進んでいった。24時間稼働している病院など医療機関に合わせ、すでに90年代には輪番で休日や夜間も対応できる仕組みを作り、24時間365日責任を持って処方箋を引き受けられる体制を地域で構築した。
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