スペインのカタルーニャ独立問題や英国のEU(欧州連合)離脱問題は、欧州が抱えている共通の課題が形となって表れたものだ。経済格差拡大の中での一律の欧州統合に、人々が不満を強めている。
EUの原形であるEC(欧州共同体)は中核6カ国によって1967年に発足した。フランス、西ドイツ、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクだ。当初、これら6カ国の間に経済格差はあまりなかった。
しかし、93年にEUとなって以降、東方拡大が進められた。2004年にはポーランド、ハンガリーといった旧社会主義陣営の東欧諸国がEUに加盟した。米国やロシアに対抗する意味合いもあり、世界における政治的・経済的な一極を作ろうとしたのだ。だが、その過程でEU加盟国間に大きな経済格差を内包してしまった。
その経済格差が、さまざまなひずみを生んでいる。たとえばスペインのカタルーニャ独立問題。独立に向けて住民投票に至った背景は複雑だ。だが、直接の引き金は、スペインのGDP(国内総生産)の2割を占めるカタルーニャ州の経済力・財政力がスペインのほかの地域に使われてしまうことへの不満にある。自分の地域を優先する地域主義の考え方で、欧州を1つにという統合の考え方には反する。だが、欧州各地で起きている地域主義の背景にある経済格差を見逃してはならない。
イタリアなどで産業が「退化」
実際、経済格差は広がっている。下図に示すように、1人当たり国民総所得(GNI)の欧州各国における差は、02年ごろはさほど大きくなかった。しかし、08年のリーマンショック後に広がった。

しかも、リーマンショック後の経済格差の一段の拡大とともに、人の自由移動を認めているEUでは当然の流れともいえるが、イタリアやスペイン、ギリシャで産業が「退化」している。第1次産業(農業など)のウエートが増加する一方で、第2次産業(製造業など)のウエートが減っている。産業革命と逆の流れだ。イタリアでは、博士号を取った人がドイツや英国へ移り、高学歴人材の流出と劣化が止まらない。ドイツなど経済力がある地域に優れた人材が集まり、そうでないところは取り残されるしかないのではと危惧される。
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