「清水(静岡市)の人間は生活をするうえで、何らかの形であの会社とかかわっている。それだけ大きな存在ですよ」
地元住民がそう話す会社が鈴与だ。1801年に回船問屋として創業。侠客として知られる清水次郎長の誕生(1820年)よりも早くから事業を営んできた。現在は建設や石油販売など、さまざまな事業を展開し、売上高は拡大基調にある。まさに清水の親分的な存在だ。グループのトップは代々、「鈴木与平」を襲名し、現在の会長は8代目になる。
鈴与は企業理念に「共生(ともいき)」を掲げている。顧客だけではなく、地域社会との共生を意識し、地域と二人三脚で事業を行うという意味だ。

単独で航空事業に参入 地元もバックアップ
実際、静岡への貢献は単なるビジネスだけに限らない。1991年には県内初の理工科大学である「静岡理工科大学」を開設した。98年からは地元のプロサッカークラブである清水エスパルスの運営支援を行っている。
200年以上の歴史を持つ鈴与だが、現在の地位に安住せず、果敢に挑戦もしている。それが航空事業への参入だ。静岡空港の開港に合わせ、2007年に「フジドリームエアラインズ(FDA)」を鈴与の単独出資で設立した。
FDAは当初、採算性を疑問視されていた。スカイマークやAIRDO(エア・ドゥ)をはじめ、新規参入した国内航空会社のほとんどが集客に苦しみ、今やANAホールディングスの資本の下で経営を続けている。単独での経営はそれだけ難しい。しかもFDAが運航しているのは、静岡─札幌、小牧─山形といった地方と地方を結ぶ路線だ。
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