V字回復の日本株、2015年強気予想も 日経平均終値1万7621円、411円高
[東京 19日 ロイター] - 日本株が急速に切り返している。原油価格の下落が一服したことで、ショートカバーや押し目買いが流入。日経平均<.N225>は2日間で800円リバウンドした。原油や新興国通貨の下落再開には警戒感が残るが、2015年に向けて強気な見方も多い。
マクロ経済はやや弱めの見通しだが、ミクロの企業業績が株価を押し上げるとの期待が大きいという。
「安全資産」から「リスク資産」に回帰
日経平均<.N225>は12月8日に付けた7年4カ月ぶりの高値1万8030円から16日までに1275円(7%)下落した。だが、原油価格が16日に下げ止まると、17日から切り返しを開始。ここ2日は連日400円前後の大幅上昇となり、高値からの下げを一気に67.9%取り戻した。
日本株反発のきっかけとなった原油価格を終値だけでみれば、18日の米原油先物価格<CLc1>は安値を更新し、54ドル台まで下落している。だが、日中の取引時間中の安値をみると、16日を底に下値を53.60ドル、54.21ドル、54.05ドル、54.31ドルとわずかながら徐々に切り上げてきている。
「原油反発の決定打となるような材料が出たわけではないが、オーバーシュート気味だったことでいったん下げ止まった。不安定化した原油価格は再下落の可能性もあるが、いったんは55ドル付近でもみあいになりそうだ」と、ばんせい投信投資顧問・商品運用部ファンドマネージャーの山岡浩孝氏は指摘する。
調整相場入りの材料とされていた原油安がいったん止まり、各市場ではこれまでのマネーフローと反対方向の動きが表面化している。米ダウ<.DJI>は2日間で710ドル反発、ロシア株<.IRTS>も2日間で21%の上昇と、ここ最近、急落していたリスク資産価格が大きく反発した。一方、米国債券など「安全資産」などへの資金流入は一服、米金利は上昇している。
こうした世界的な相場のリバウンドが日本株にも波及しているというのが、現在の日本株反発の需給面での構図だ。12月第2週の海外投資家による日本の現物株と先物合計の売買は8387億円の売り越し(前週は2581億円の買い越し)となったが、リスク選好度が回復する中で「マクロ系のヘッジファンドを中心に、日本株にも買い戻しが入っている」(外資系証券)という。
国内リスク要因は賃金動向
今後は、こうした外部要因に頼らず、日本株が独自に上値を追える力があるのかが焦点となる。日経平均で見て前回高値の1万8030円でリバウンドは止まるのか、それともさらに上を目指すかがポイントだ。
2015年に向けて強気な見通しを示すのは、ゴールドマン・サックス証券のチーフ日本株ストラテジスト、キャシー松井氏だ。
「日本企業のROEは、来年度2桁に乗る見通しだ。これはストラテジスト歴25年の中で初めて」と指摘。コーポレート・ガバナンス改革などを通じて海外投資家が日本企業を見直す可能性があるとし、TOPIX<.TOPX>は1650ポイント、日経平均は2万0500円を予想している。
ソシエテ・ジェネラル証券・チーフエコノミスト、会田卓司氏も、企業側からの景気や株価後押しが期待できるとみている。「日本企業が内部資金をようやく使い始めている。政府の支出も大きくなっており、ネットの国内資金需要が復活したことで、デフレ脱却に大きく前進した」とし、今回の景気回復はバブル崩壊以降、何回か訪れた回復期と異なると指摘する。
一方、松井氏が国内のリスク要因として挙げるのが賃金動向だ。企業の強さに比べて、家計は弱い。円安は輸入物価の上昇を通じて、消費者の懐を直撃している。賃金が期待ほど上昇しなければ、実質所得は減少する。安倍政権の支持率低下につながれば、アベノミクスを支える力も低下。株売りのきっかけになるおそれもあると警戒している。
政府は16日、関係閣僚と経済界、労働団体の代表らによる「政労使会議」を開き、2015年春闘に向けて賃上げに最大限努力するとした合意文書をまとめた。政府が企業の賃金政策に介入するという異例の対応が2年続くことになるが、日本株の先行きを占ううえでも、賃金動向は2015年最大の注目点となってきそうだ。
(伊賀大記 編集:田巻一彦)
<東京市場 19日>
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日経平均 国債先物3月限 国債336回債 ドル/円(15:00)
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17621.40円 147.61円 0.350% 119.36/38円
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+411.35円 -0.05円 +0.005% 118.83/85円
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注:日経平均、国債先物、現物の価格は大引けの値。
下段は前営業日終値比。為替はNY午後5時。
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