本誌での連載のおかげか、最近、ビジネスマンの方々との接点が増えている。特に民間企業の社長や重役など、いわゆる経済人とお会いする機会が多い。
茨城の県立高校から日本体育大学に特待生で入り、自衛隊入隊、さらに特殊部隊の世界で生きてきた人間である。体育会系、ミリタリー系ど真ん中の私がそういう人たちと会ったところで、ろくに話が合わないだろうと思っていた。
ところが、実に合うのである。私だけでなく、特殊部隊員の感性は、一般の自衛隊員よりも経済人のほうに近い気がする。
先日もある会社の経営者と話をした。社員の採用についての話題になり、特殊部隊ではどのように募集や選考を行い、どんな人物を迎え入れるのかについて、質問を受けた。私は、現役自衛官から志望者を募るし、2年間の教育期間を通じて適任者を選んでいくので、会社の場合とはだいぶ異なるという話をした。
するとその経営者は、自社の採用の方法を子細に教えてくれた。
基本的に新入社員の採用は人事部に任せているが、最終チェックは自分自身で行っていると言う。そして、そのやり方が非常に興味深いものだった。
「新卒採用は毎年20名程度まで絞ってから、最後は採用候補者全員と僕とで、近所の定食屋さんにお昼を食べに行くんですよ。会社からの道中、お店に着いてから、食事の最中、食べ終えて店を出るまでを見るんです。仲間になってほしい人かどうかは、それで大体、いや、全部わかります」
定食屋で見える素養
「面白いですよ。僕の前を平気で横切ったり、横に並んで道をふさいだりね。定食屋さんで、どこが上座で自分はどこに座るべきか、まったく考えない人もいる。メニューを独り占めしたままなかなか注文を決められない人、逆に何も見ないで『私も同じもので!』なんて言う人もいますね。食べる速さを周囲に合わせているか、初対面の人との会食を楽しめるか、まあ、人間性が出ますよ」
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