小泉進次郎氏らが提唱した「こども保険」創設案が関心を集めている。高齢者保護に偏った日本の社会保障制度を、子育て世代にも目を向けたバランスの取れたものに変えていくアイデア自体には大賛成だ。だが、もう子育てする可能性のない世代も負担する仕組みを保険と呼ぶのは、どう考えても無理がある。
しかし考えてみれば、年金にしても医療にしても、日本の社会保障全体がもはや保険とはとらえにくくなっている。実際、年金制度は実質的に賦課方式となっており、多くの若者は「自分たちは年金をもらえない」と思っている。彼らは、毎月の給料から差し引かれる年金保険料を「税金」と理解しているだろう。
医療保険も同じだ。赤字の健康保険組合が多く、保険料引き上げが相次いでいる。それは組合員の医療費が増加しているためではなく、高齢者医療のための拠出金が増えているからである。
保険給付の主な対象が保険料の負担者以外であるなら、これは保険ではない。社会保険料は働き手と企業が折半で負担する「賃金税」と理解すべきだろう。家計の社会保障負担が所得税を上回る(企業の社会保障負担も法人税より多い)今、保険料を税だと考え直すことで、多くのことが理解できるようになる。
まず第一に、雇用者報酬と比較して「消費が弱い」とするのは不適切である。雇用者報酬は、社会保険料の企業負担分を含むから、賃金が上がらなくても保険料が上がれば増える。一方、保険料負担が増えれば、労働者の手取りは減ってしまう。毎年の社会保険料引き上げで、両者の乖離は拡大を続けている。
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