日本の書籍・雑誌の流通は「再販売価格維持制度」と「委託販売制度」という2つの大きな取引慣行から成り立っている。
再販制度は、出版社が小売価格を定め、値引き販売を行わないことを条件に書店と取引契約を結ぶもので、公正取引委員会から独占禁止法の例外として認められている。委託販売制度は流通段階での売れ残りを出版社に返品精算できる仕組み。取次や書店は不良在庫リスクを負わなくて済む。この2つの仕組みにより、全国の読者に多種多様な出版物が同一価格で提供されてきた。
下の図は、書籍の商取引の基本チャート。出版社は定価の70%(実際は60%台前半~70%台前半。老舗出版社ほど好条件。支払い条件も老舗ほど厚遇)の価格で取次に新刊本を搬入。これを出版社の「正味」と呼ぶ。取次はここに8%の利益を乗せて書店へ卸すため、78%が取次の正味である。
書店は売れた分の仕入れ代金を取次に支払い、売れ残りは取次に返品。取次は出版社に返品する。委託販売ではなく書店が発注をかけた注文品取引の買い切り品にも返品の慣行があり、これを返品フリー入帳と呼ぶ。
出版業界の最大の特徴は取次だ。出版社は4000社以上、書店は1万6000店以上あり寡占度が低いのに対し、取次はトーハン、日販で80%近くのシェアを占める。両社は取引仲介機能だけでなく金融機能も担っている。

この出版流通の仕組みに乗って、1996年まで日本の出版市場は右肩上がりの成長を満喫。出版社数、書店数も増加が続いた。ところが96年をピークに書籍・雑誌の売り上げは減少へ転じる。出版社、書店の倒産、廃業も相次ぐようになった。
特に厳しいのが書店の経営。トーハンの「書店経営の実態」によるとアンケート調査書店の売上高伸長率は95年から減少を続け、同年からの減少率は2008年までの累計で40.5%にもなる。08年版の調査によると、書店の平均経常利益率は0.57%にすぎない。
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