シルバー・デモクラシー 戦後世代の覚悟と責任
寺島実郎 著
高齢者人口が3割に迫ろうとする日本。選挙をすれば、高齢者の投票率が7割近く、逆に20代の投票率はその半分程度でしかない。この傾向が続けば、日本の政治的意思決定は「老人の、老人による、老人のための政治」となると著者は警鐘を鳴らす。
この弊害は、経済不安の中、多くの金融資産を持つ高齢者層から「とにかく株価が上がればいい」という心理を引き出し、アベノミクスを支持させる。結局、その恩恵を受けるのは、彼らと輸出志向型企業だけだ。こうしたことから生じる世代間格差と富の再分配を適正化しなければ、この国に未来はないと説く。
著者は、高齢者らしい社会への配慮と成熟した知性の発現をシルバー世代に求める。
真理の探究 仏教と宇宙物理学の対話
佐々木 閑、大栗博司 著
この世の真理を心の問題として語った釈迦の教えである仏教と、数字という厳密な言語で世界をとらえる物理学。双方の専門家が、宗教と科学をお互いに学びながら、この世界の本当の姿に迫ろうと試みた。
仏教者は、物理学が発見した自然界の真理を理解することによって、宗教的、哲学的な思索を深めようとする。一方、物理学者は世界に対する思い込みを取り去るために、釈迦の教えを現代科学の立場から理解しようとする。
科学が「人生に生きる意味はない」と明らかにしても、自ら人生の意味や幸福のあり方を見つけていくべきと仏教者が主張するのを、物理学者が「納得できる」としているのが印象深い。
この記事は有料会員限定です
残り 939文字


