主体的に学び、考え、表現する能力を磨く──。そうした21世紀型能力、いわば“食える力”の育成が大学入試から高校以下の教育へと広がろうとしている。だが一方で、従来型の知識中心、偏差値重視の学力熱も収まっていない。
近年の傾向では下図のとおり、文部科学省が脱ゆとり教育路線を鮮明にした2000年代以降、「できるだけいい大学に入れるよう、成績を上げたい」と考える高校生の割合は上昇。一流企業に入ったり、お金持ちになったりするために「勉強が役立つ」と考える高校生の割合も、過去10年間で増えている。学力信仰はまだ根強いのが現実だ。

アクティブラーニングは名門校で高い成果
「00年代初めの脱ゆとり路線への転向以降、学力を高めることをよしとする雰囲気が社会で広がった」
ベネッセ教育総合研究所の吉本真代研究員はそう振り返る。加えて吉本氏が指摘する学力信仰の高まりの要因が、格差社会への社会的意識の広まりである。
「折しも就職難の時代。00年代後半にはリーマンショックで非正規雇用の問題もメディアで取り上げられた。少しでも安定した会社に入るために、いい大学に進むべきという意識が学校側でも生徒側でも高まった」(吉本氏)
では20年度の教育改革を機に、学力熱は沈静化するのか。「すぐには変わらないはず」と指摘するのが、大学イノベーション研究所の山内太地所長だ。
山内氏がその根拠に挙げるのは、21世紀型の主体的に学ぶ力が、従来型の学力と連動していることだ。
「アクティブラーニングで成果を上げている高校のほとんどは実は名門校。生徒は学習習慣を身に付けており、知識もある。だから議論やグループワークがうまくいく。学習習慣がない学校で議論させようとしても難しい」。端的な例が、日本史の知識なしにアジア近隣国との関係は論じられない、といったケースだ。
この記事は有料会員限定です
残り 607文字
