「なんなんだ、この不気味な集団……。生気がない。若者特有の血気というか、勢いがない」
私は、28歳から2年間、防衛大学校の指導教官をしていた。主な仕事は、各学年10名程度で編成される学生小隊の生活指導だった。
学生は毎朝、行進して授業に向かう。その様子を初めて目にしたとき、強制労働に向かう囚人らのように見えた。指導官の目をひどく気にしながら、自我を殺し、指示どおりに行動しているからだった。
彼らの年齢のときの私といえば、日本体育大学の合宿所で、自我しかない生活をしていた。100分の1秒タイムを縮めるために何をすべきかしか考えていないし、他人の目はまったく気にならない。なぜなら、評価は競技での順位とストップウォッチが下すものだったからである。
生まれて初めて見る血気のない若者たちは、いったい何を考えているのか。彼らの頭の中を知りたくて、すぐに学生小隊全員と個別に面接をした。聞いたことはただ一つ。
「防大に、何をしに来たんだ?」
答えは3種類しかなかった。
「授業料が無料だから」
「誰々に勧められたから」
「幹部の道が約束されているから」
どうして「〇〇をするため」という願望がないのか、どうして「自分が」という主語がないのか、さらにどうして他人の勧めで自分の人生を決めてしまうのか。
私はまったく理解ができず、むなしいような、情けないような、悲しい気持ちになっていった。
本当は主体的に生きたい
このままでは、彼らを理解しようとする気力さえもなくなると思い、自分の感情をぶつけてみた。
「おまえらは、まるで亡霊だ。指導官の目ばかり気にしやがって。校則で決められた生活をして満足か? やりたいこと、やるべきだと思うことねえのか?」
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