主力ブランドの販売好調などを背景に、食品メーカー各社が相次ぎ2016年度業績を上方修正している。が、国内最大手の味の素は減益予想に転落。“独り負け”の様相を呈する。
「計画に対して1カ月分後れを取った」(西井孝明社長)。16年11月、味の素は17年3月期の中間決算(16年4〜9月)を発表すると同時に、通期業績予想を下方修正。売上高は期初計画から910億円の下振れ、営業利益は同95億円下振れる見通しだ。対前年で横ばい程度をもくろんでいた当初計画から一転、二つの誤算により減収減益を見込む。
一つ目の誤算は円高が想定以上に進んだことだ。味の素はブラジルやタイをはじめ130以上の国と地域で、調味料「味の素」や加工食品などを販売しており、連結売上高と営業利益の4割程度を海外食品事業が稼ぐ。それだけに円高の影響は大きく、同事業の売上高は524億円の下振れ、営業利益は53億円の下振れを見込む。
飼料用アミノ酸の市況低迷も誤算だった。味の素は独自のアミノ酸製造技術を生かし、一般的な飼料に不足しがちなアミノ酸の製造・販売を50年以上前から手掛けている。だが、中国メーカーなどライバルの安値攻勢により販売価格が大幅に下落。下期(16年10月〜17年3月)も販価改善は見込みづらく、飼料を含むライフサポート事業の売上高を207億円、営業利益を72億円下方修正した。
17年は巻き返しの1年だ。創業家を除く歴代最年少でトップとなった西井社長は、就任3年目にして正念場を迎えることになる。
成長株の海外食品事業では、主力のタイ・インドネシア・ベトナムで約100億円を投じ、「味の素」などの調味料を増産する。タイから調味料や粉末飲料を輸入していたミャンマーでも、秋ごろから現地工場での包装を開始し、販売エリアも拡大するという。少子高齢化に伴い食品市場の縮小が続く日本とは対照的に、人口も所得も伸びる余地のある東南アジアで、さらなる成長を目指す。
この記事は有料会員限定です
残り 576文字

