「ピーーッ」
けたたましい警笛音が射撃場に響き渡ると、チームによる実弾射撃を実施していた数名はその場で立ち止まり、全員が各自の銃に安全装置をかけたことを大声で宣言した。
「安全装置よし」
警笛は、射撃場を見下ろす位置から監視していた私が吹いた。そして私は、誰も被弾していないことを確認し、全員の銃に安全装置がかかっていることを自分の目で確かめてから「休め」と指示した。
何度経験しても、背筋を走った戦慄(せんりつ)が邪魔をして、とてもすぐに話などできない。目を閉じて大きく一回深呼吸し、「とにかく射殺事故は防げた」と自分を落ち着かせてから、射撃を中止させた理由を説明する。
特殊部隊創設時は、チームによる射撃訓練を安全に監理するノウハウに乏しく非常に危険だった。
通常の射撃訓練では、射撃指揮官の号令に従って、指定された場所から指定された標的に対して、指定された弾数を発砲する。だが、特殊部隊の射撃訓練には、いつ、どこで、どこに向けて、何発撃つのかのすべてを、射手の判断に任せるものがある。しかも、複数の者が、高速で移動しながら実施する。
当然、射線は交差するため、判断を誤れば、仲間を撃ってしまうことも十分にありうる。
刻々と変化する環境の中で、おのおのは同一目的を達成するためにチームとしての方策を考え、自分の役割を決定し、実行する。いつ、どこへ、何発撃ち込むのかを、仲間も自分も目まぐるしく動く中で判断する。
そこまで高度なチームプレーを可能とさせるのは、失敗の反省とそこから得た教訓の積み重ねである。失敗がなければ成長はない。
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