米ワシントンのシンクタンク・外交問題評議会のシーラ・スミス上級研究員は、日本での研究経験も豊富な知日派の代表格だ。スミス氏もまた、ヒラリー・クリントン氏の勝利を予想していた。
米外交問題評議会シニアフェロー シーラ・スミス
過去に例のない大統領選挙となった。乱暴で不作法、けんか好きな新しいタイプの候補者、ドナルド・トランプ氏が共和党をハイジャックし、強力な国際主義を党是とする共和党の指針を、大衆迎合主義的で反グローバリストの指針へと転換すべきだと主張した。共和党の国際主義に異議を唱えて台頭したティーパーティ一派ですら、トランプ氏の前では影を潜めてしまった。トランプ氏の勝利に、誰もが(彼自身も含め)驚いた。
アメリカ・ファーストは世界への批判と同義
トランプ氏がどんな大統領になるか、米国では誰もが気にしている。選挙戦の最後の数カ月で、トランプ氏はチームの顔ぶれを何度も変え、周囲を“忠臣”で固めた。この中から新政権のポストが決まるとみられている。報道によればルドルフ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長、ジェフ・セッションズ上院議員、ニュート・ギングリッチ元下院議長などが、次期副大統領のマイク・ペンス氏とともに閣僚候補になるとみられている。
米国では大統領選のとき、外交政策はほとんど話題に上らないのが通例だ。経済の健全性など、国内の争点が優先されることが多い。ところがトランプ氏の選挙戦では、外交政策に関するショッキングな主張が多く飛び出した。トランプ氏は米国の自由貿易協定を繰り返し否定した。同盟関係においては相手国が十分な費用負担をしていない、同盟を放棄すべきだと述べた。温暖化対策のパリ協定や、イランの核開発問題での合意といったオバマ大統領の外交の成果を酷評した。トランプ氏のスローガンである「アメリカ・ファースト」は、世界を批判することと同義のようだ。
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