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『君の名は。』大ヒットさせたSNSの拡散力 映画界の常識を超えた「農業型」集客モデル

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  • 境 治 メディアコンサルタント
「君の名は。」全国東宝系にて公開中 ©2016「君の名は。」製作委員会

映画『君の名は。』は興行収入176億円を突破し、日本の映画興行史上まれに見るメガヒットとなった。その理由を考えれば考えるほど、わからなくなる。というのは、この20年ほどの日本映画はテレビ局の力を頼ってきたからだ。フジテレビジョンをはじめ各局が映画製作に乗り出し、ドラマの映画化などそのメディアパワーをフルに生かして企画からプロモーションまでを担ってきた。テレビ局抜きで日本映画はヒットしない状況だと誰もが信じていたと思う。『君の名は。』はそんな常識を吹き飛ばした。

製作委員会にテレビ局は名を連ねていない。しかも監督である新海誠氏の作品はこれまで全国20館程度のインディペンデント的な公開だったので、今回が初めて東宝と組んだ「メジャーデビュー」作品だ。このヒットの謎を解こうとあちこち情報収集をしたところ、「狩猟型から農業型へ」とでも呼ぶべき潮流の変化が見えてきた。

ファン育てる「農業型」がカギ

過去作品で、新海監督は劇場公開のたびにすべての映画館でサイン会を行ってきた。ファンたちとの交流を大事にする「会いに行けるアニメ作家」だ。公開終了後はレンタル店を通じて中高生に受け継がれ、この10年間静かに少しずつファンを増やし育ててきたと考えられる。

『君の名は。』では、公開までにさまざまなプロモーションが展開された。6月末にKADOKAWAから小説版が出て公開前日の8月25日までに50万部も売れた。計4万人という規模で試写会を開催した。RADWIMPSが歌う劇中楽曲は公開直前に発売された。サントリーのコラボCMや映画自体のテレビCMも放送されている。

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