2011年6月、ファーストリテイリングとユニクロは文芸春秋を東京地裁に提訴した。『週刊文春』ならびに同社が出版した書籍『ユニクロ帝国の光と影』(横田増生著)における記述が名誉毀損に当たるとして、書籍の発行差し止めと回収、謝罪広告および損害賠償を求めたものだ。出版元への請求額は2億2000万円に上る。今年5月には判決が予定されている。
提訴の直後、毎週月曜定例の部長会議で、柳井正社長は冒頭からこの件についてコメント。「ユニクロが収益を上げ成長しているのは、社員やお取引先の犠牲の上に成り立っていると誤った印象を与えるような内容になっている」と、提訴に至った理由を説明した。
現在、国内の労働環境について争点になっている記述は事実上、1カ所である。現役店長の発言による、以下の記述だ。「11月や12月の繁忙期となると、今でも月(間労働時間が)300時間を超えています。そんな時は、タイムカードを先に押して、いったん退社したことにしてから働いています。本部ですか? 薄々は知っているんじゃないですか」。本誌も指摘した長時間労働とサービス残業の有無が焦点だ。
先に触れたとおり、ユニクロは共有PCへの打刻で管理した全店長の勤務時間一覧を、証拠として提出した。打刻された月間労働時間が規定の240時間以内にあること、そして実効性のあるサービス残業防止策を採っているため、「月240時間を超えて働く者はいない」とユニクロ側は主張。これを裁判所が認めるかどうかが焦点だ。
近年、裁判所によって認定される名誉毀損訴訟での損害賠償額は高額化する傾向にある。最近は、原告の賠償請求が出版元だけでなく筆者個人に及び、金額も億円単位という「威嚇訴訟」が珍しくなくなっている。
この記事は有料会員限定です
残り 739文字
