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ビジネス #自動車 風雲急

三菱危機をこう見る 識者インタビュー

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 三菱自動車には知恵と情報がまだ眠っている

東京大学名誉教授 武田晴人

たけだ・はるひと●1949年生まれ。2015年東大教授退官。専攻は日本経済史。著書に『高度成長期の日本経済』『新版 日本経済の事件簿』など。(撮影:ヒダキトモコ)

今回、三菱自動車で起こった経営危機がすぐに三菱グループの弱体化につながるとは見ていない。

三菱のような企業集団には、資金調達や情報共有などで強みがある。特に三菱グループはあらゆる企業を取りそろえた、いわゆる「ワンセット主義」を最も完全な形で残した財閥系の集団だ。たとえば住友グループは、鉄は持っていたが自動車は持っていない。今は鉄も手放しかけている状態だ。三井グループは商社と銀行が儲かっているが、機械部門には進出し損ねた。傘下の東芝に対する影響力も強くない。

その点三菱には、機械部門に三菱重工業があり、電機部門に三菱電機がある。ほかにも石油化学など多くの素材部門があり、銀行や海運、さらに海上保険がある。そして、これらはすべて競争力のある企業として現存している。

三菱が他の企業集団よりも強いといわれるのは、このグループの総合力に起因する。今回の件でこの力が簡単に弱まるということはないだろう。

新産業の育成に課題

度重なる不祥事を起こしたとはいえ、三菱自動車にも技術や組織にあなどれない力がある。1970年代、韓国の現代自動車は三菱から技術提供を受けて出発している。現代自動車の製品は三菱自動車の「パジェロ」や「ギャラン」とそっくりだった。スリーダイヤのブランドを汚したことは重大な問題だが、三菱自動車にはそれだけ価値のある資産がある。投資家としての観点に立ち、こうした知恵と情報の固まりである企業をバラバラの資産としてカネに換えてしまえば、人的資本を含めた知的財産は日本から失われる。

一方で、これまでのように素材や耐久消費財の生産に頼って生き残っていくのは厳しい。これは日本の企業集団に共通する課題だ。情報通信やサービス産業など新たな分野での基盤確立に三菱グループは取り組む必要がある。

 

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