電気通信大学大学院教授 栗原 聡 かつてAIには統計や確率といった分析手法が長らく用いられていた。これは画像認識でいえば、なるべく多くの画像をコンピュータに記憶させ、その過去のデータと新たな画像を照合させて認識につなげる手法だった。
ところが2011年、そうした統計・確率型の分析手法の優位性が覆される“事件”が起きた。世界的な音声認識のコンテストでディープラーニングという新手法が、従来の手法を認識率で上回ったのだ。翌年には画像認識でも同様にディープラーニングが実力を見せつけた。
これまでの統計・確率型ではコンピュータが記憶した画像と少し違うだけでも、識別を間違えてしまう。これではどんなに記憶量を増やしても人間のように汎用性のある知能には近づけない。
ディープラーニングは画像そのものを記憶するのではなく、共通する特徴を「抽象化」したうえで認識する。これは人間の脳の働きと似ている。われわれは1匹1匹の猫の画像を覚えなくても、猫らしさを抽象化して認識している。コンピュータにもこうした抽象化の能力を進化させれば、人間のような知能に近づく突破口が開ける。画像や音声の認識がメイン しかし今のディープラーニングにできるのは、あくまでも画像や音声の認識の範疇にすぎない。人間のような汎用性のある脳に近づくには、ディープラーニング自体の仕組みの解明が必要となる。
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