年明け以降、不安定な株式相場の下で顧客の投資マインドが悪化し始めていたが、日本銀行によるマイナス金利導入の決定はその状況をさらに深刻化させた。相場の上げ下げが大きいため、オンライン専業証券会社はデイトレーダーによる短期売買が途絶えないものの、対面証券会社は総じて厳しい。
「株式も投資信託も売れない。2月は損益分岐点を割り込んだ」
ある中堅証券会社の幹部は「商売上がったり」の状況をそう漏らす。しかも、単に顧客の投資マインドが冷え切っただけではない。証券各社は今、過去に一度も経験しなかった事態に直面してしまっている。マイナス金利導入によって、次々に市場金利がゼロ%割れを来した結果、公社債型の投信商品、中でも短期債などを組み入れて運用してきた商品に逆ザヤが生じ始めたからだ。
いつか、マネーが流入 それまでは臥薪嘗胆
典型がMMF(マネーマネージメント・ファンド)。同商品は販売停止が続出し、さらには償還前の返済へと追い込まれ始めている。しかし、商品の重要性や資産規模からすれば、MMFは証券各社が直面する重大問題の氷山の一角にすぎない。各社が頭を抱え込むのは別の商品、MRF(マネーリザーブ・ファンド)のほうだからだ。
MMFと同様に短期運用で流動性を高めた商品であり、2月以降逆ザヤ運用を余儀なくされていることに変わりはないが、MRFは証券総合口座という証券各社のストックビジネスモデルの中核に据えられているのだ。具体的には、個人顧客の投資マネーの受け皿であり、さらには顧客が保有株式を売却すれば、売却資金は自動的にMRFに移し替えられるようになっている。いわば、投資マネーが銀行など他業界の金融商品にシフトすることを防いで、次の本格的な投資まで停留させる受け皿がMRFである。
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