欧米企業が台頭する医療機器業界において、血管に細い管を通すカテーテル治療分野で世界4位と存在感を発揮するテルモ。心臓の再生医療という新領域に参入し、米国の事業拡大にも乗り出す。今後の戦略を新宅祐太郎社長に聞いた。
──今年9月、心臓治療用の細胞シートが製造販売承認を取得した。
心臓用では世界初の再生医療製品だ。再生医療は日本が世界のトップランナーに近い。日本、テルモの象徴として継続してやっていきたい。
現状は患者自身の脚の筋肉の細胞を使い、個別のブースで4週間培養する。生産性を向上させ、iPS細胞(人工多能性幹細胞)と同様に、患者以外の人の細胞も使えるようにするなど、一つひとつ改善する。新しい技術なので、ビジネスインパクトは長い目で見てほしい。
──主力のカテーテル事業の好調が続いている。
カテーテル治療は心臓の詰まった血管を広げる治療から始まった。この10年で、脚の詰まった血管の治療、がんにつながる血管に抗がん剤を含む塞栓剤を置くがん治療、脳動脈瘤の治療など、応用展開が進んだ。当社製品は全部をカバーし、今の成長ドライバーにしている。
特に、カテーテル治療の主要機器の一つ、冠動脈ステント(血管を広げる網状の筒)の新製品が非常に好調だ。心臓の血管に留置して再び詰まるのを防ぐもので、欧州、中南米、アジアで2014年に投入し、今年10月に国内で発売した。ステント表面の薬剤の多層コーティングなど、日本の精緻な物づくりと究極の品質が評価されている。
これまで日本は治療用の医療機器の大半を輸入に頼っていた。だが、この国産の製品によって、冠動脈ステントでは近いうちに輸出入が逆転するかもしれない。国内の医療機器業界にとって、画期的なことだ。
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