香港で尊敬されている富豪の李嘉誠氏と中国政府との間に、困ったもめ事が起きている。中国メディアは李氏に対して、情け容赦なく辛辣な言葉を浴びせている。
事の発端は、李氏が自社の登記を香港からケイマン諸島に移した後に、上海にある主要な資産を売却したことだ。これ自体はよくあるビジネス判断で、香港の上場企業の約70%がカリブ海域諸島で登記されており、インターネット通販大手アリババなど中国本土の大企業も海外タックスヘイブンで登記している。
だが中国メディアは、李氏が「恩知らず」で「非愛国的」という。これは実は政治問題なのである。中国が香港への支配を強化するに従い、彼は独立心を見せ始めた。
李氏は故・トウ小平氏のアドバイザーで、江沢民・元国家主席の親友だ。1989年の天安門事件後、最初に中国に出資した一人でもある。彼は長い間、「中国の国益に反することはいっさいせず、中国の評判を傷つける可能性のあることはいっさい言わない」というモットーを掲げていた。
このモットーが変わったのは、2012年に梁振英氏が香港の行政長官に指名されたときだ。梁氏は、中国政府の命令を実行する責任を負うことになり、学生や知識人による民主化デモに対しては断固たる姿勢を取った。中国の香港に対する方針がどんどん厳しいものになり、梁氏の香港での評判は下がっていった。
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