今のドル円相場を牛耳るのが米国のヘッジファンドだ。アルゴリズムを駆使した超高頻度取引(HFT)が、ボラティリティの高い相場を生み出す。ファンドの動向に詳しい経済アナリストの豊島逸夫氏に、その動向や思惑を聞いた。
日本国内では、黒字基調の経常収支を基に円高に向かうとの議論も出てきているが、ニューヨーク(NY)のヘッジファンドはそう考えていない。「いったいどうすれば円高になるのか。円安ドル高しかない」という姿勢だ。売れるところまで売ったユーロに対して、まだ売りの余地がありそうな円に照準を合わせている。
彼らが見ているのは「緩和度」だ。9月こそ見送られたものの、数カ月以内に米FRB(連邦準備制度理事会)は利上げするとの見方が強い。その反面、日本銀行は追加緩和の可能性もある。円安ドル高の根拠は、この日米金融政策の非対称な方向性に尽きる。NYのファンドが視野に入れているのは1ドル=125~127円の水準。2016年には130円くらいになると考えている。
最近起きているのが、中国経済への不安と世界的な株安連鎖で、安全通貨として円が買われる「有事の円買い」だ。ドル円は120円を挟んで膠着状態とはいえ、短期的には円高に振れやすい。この動きを仕掛けるのが、CTA(コモディティ・トレーディング・アドバイザー)と呼ばれるヘッジファンド。HFTを駆使し、短期的な値幅を取りに来る。激しい値動きの要因のうち、今や5割以上はヘッジファンドといえる。
有事の円高は、NYのグローバルマクロ系(世界のマクロ経済指標に基づいて運用する)ファンドにとっては好機となる。アベノミクスを前提に、彼らは円売りのポジションを張っている。欲を言えば115円、そこまでいかないのであれば118円あたりに円高が進んだときに新たなドル買い・円売りを仕掛けたいと考えている。
この記事は有料会員限定です
残り 603文字
