自由市場は各個人と社会の両方に未曾有の繁栄をもたらした。だが、われわれは自由市場に操られたり、だまされたり、単に誘惑を受けたりもする。そして個人にとっても社会にとってもよくない物を買わされることもある。私はジョージ・アカロフとの共著『Phishing for Phools(フィッシング・フォー・フールズ)』で、このマイナス面を分析した。
「フィッシング」と呼ばれる迷惑な詐欺行為のeメールや電話を受けたことがあるだろう。「フール(phool)」とは、フィッシングが身近に起きていることを完全に理解しない人である。筆者を含め、われわれの多くはフールだった。
そして、フィッシングが特に懸念されるのは金融市場である。資産価格は急変動しやすく、大規模なフィッシングが横行している。借り主は不相応な担保を提供するように誘われ、企業は資産を剥ぎ取られ、会計士は投資家を欺き、ファイナンシャルアドバイザーは無から富を得た人の話を延々と語り、メディアは法外な権利を主張する。
下落相場での敗者は、フィッシングに引っ掛かった者たちだけではない。借入金で購入された資産が高騰後に急落したとき、多くの敗者が生まれる。破産申告やそれへの恐怖が伝染し、多くの破産申告者が生まれ、さらに恐怖が増す。そして与信が底を尽き、経済が崩壊する。この景況感の下方スパイラルの悪循環には、大抵フィッシングが絡んでいる。
この記事は有料会員限定です
残り 349文字
