手に入れたくても買うことができない。家庭料理の必需品ともいえるバターの品薄が続いている。業務用でも状況は同じだ。需給が逼迫しているため、価格も上昇。パン屋やケーキ屋など、自営業者にとっても大きな痛手となっている。
なぜ品薄状態が続いているのか。バターの需給と価格は国の政策が大きく影響している。国内の酪農家を保護するという大義名分の下、バターの輸入はいまだに国家貿易で統制されているからだ。
バターの原料は、酪農家から出荷される生乳である。だが、酪農家の減少に伴い、生乳の生産そのものが減少。1990年の820万トンから2014年には733万トンまで落ち込んだ。
生産された生乳は、飲用の牛乳、生クリーム、チーズ、バターの順番で配分され、バターは最も後回しにされる。90年代後半のバター生産量は9万トン近くあったが、11年は東日本大震災の影響もあり、6万トン台に縮小した。翌12年はいったん持ち直したが長くは続かず、14年には90年以降の最低水準となる6.2万トンまで減少(図表1)。15年も回復の見通しは立っていない。
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その一方で、バターの国内需要はほぼ年間7万トン台半ばで安定している。したがって、国内生産だけでカバーしようとすると、品薄状態に陥りやすい。
そこで国はバターの需給を見ながら、必要に応じてバターを輸入している。今年は1、5、9月時点の状況を見て、どの程度の量を輸入するか決めることにした。そして5月に前14年度の生産や在庫状況を踏まえたうえで、1万トンの追加輸入を決定。輸入分は業務用に回し、国産生乳から製造された物は家庭用、すなわちスーパーなどの店頭に並ぶことになりそうだ。陳列棚は空いたまま だが、国は乳製品価格の低下を恐れ、最小限の量しか輸入しない。そのため、大口需要者向けの1キログラム当たり価格は、10年時の1054円から、直近の今年4月には同1375円まで上昇している。5月の追加輸入決定も「焼け石に水」となりそうだ。
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