百貨店業界では訪日外国人の購買動向が注目されがちだが、市場全体を押し上げるほどの力はまだない。実際、2014年の全国百貨店売り上げは前年並みの水準だった。市場反転の兆しが見えない中、どんな活路があるのか。高島屋の木本茂社長に聞いた。
──市場規模が縮小し、百貨店の存在感が薄れている。
個人消費は1990年代以降も微増トレンドだが、百貨店の市場規模は91年の9.7兆円をピークに10年以降は6兆円台前半まで縮小した。小売り全体の中で百貨店業界が占めるシェアは2%程度しかない。
こうした状況を打破するには、異業種との提携と、積極的な海外進出が必要になる。今年3月、トランスコスモスと合弁で、海外向けにネットや卸で日本製品を販売する会社を設立した。貝印とは、食関連の商品販売や飲食事業を手掛ける合弁会社を立ち上げる。
──16年にベトナム、17年にタイで事業を始めるなど、ほかの国内大手と比べて、海外展開が目立つ。
国内市場が成熟する中、今後の成長には、ASEAN(東南アジア諸国連合)への進出が不可欠だ。
積極的に海外へ出られるのは、93年に開業した「シンガポール高島屋」の成功体験が大きい。同店は、オープンから10年間は赤字続きで撤退論も出たが、品ぞろえや売り場構成の修正を繰り返して改善した。その間、国の経済も成長し、1人当たりGDPは日本を上回った。今やシンガポール事業の利益が連結営業利益の約5分の1を稼ぐまでになっている。
ベトナムには、このシンガポールの成功モデルを持ち込む。現地の生活水準に合わせて商品を展開し、百貨店、商業施設運営、不動産賃貸の三つの事業を統合して運営する。タイでは、民間による不動産開発として最大規模(商業面積12万平方メートル)となる商業施設「ICONSIAM」の中核テナントとして、百貨店を出店する予定だ。
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