「正直、当初はありえない価格だと思っていた」。マンション分譲大手・大京の木村俊久・執行役員事業統括部長はそう語る。2016年4月、千葉県柏市に竣工予定の「ライオンズタワー柏」。JR柏駅から徒歩3分の好立地で、平均販売価格は4889万円。坪単価は約235万円と、郊外物件としては強気の価格設定だ。
それでも昨年6月の販売開始以来、売れ行きは好調。約1年で265戸をほぼ完売した。購入者の3分の1が60歳以上、45%が現金で購入した。「ファミリーを中心とした、郊外マンションにおける従来の顧客像とは大きく異なっている」(同)。
三井不動産レジデンシャルで千葉エリアを統括する藪越大・千葉支店営業室長は「(直近で価格が底だった)東日本大震災直後に比べてかなり価格が上がってきた」と話す。同社がJR総武・京葉線沿線で手掛けるマンションの坪単価は、11年の170万~200万円から、直近は200万~270万円に上昇した。
郊外でもマンション価格の上昇が止まらない。特に建築費の高騰を受け、14年から値上げ幅が拡大。その傾向は現在も続いている。06~07年のミニバブル期に分譲されたマンションの価格は「新価格」「新々価格」と呼ばれたが、千葉や埼玉ではすでにその水準を超えてしまった(図表1)。
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モデルルームを造らずに実物をじっくり販売
もう一つ郊外で顕著なのが、販売戸数の減少だ。今年1~3月、首都圏3県におけるマンションの販売戸数は前年同期比約3割も減った。
ミニバブルの崩壊以降、マンション業界では郊外を主戦場とする新興企業を中心に淘汰が進んだ。1990年代半ばに500社近くあったマンション分譲業者は200社程度まで縮小したといわれる。生き残った中堅業者の中には、郊外から都市部に軸足を移すケースも多い。そこに建築費高騰が重なり、郊外での開発自体が減る傾向にある。
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