世界3大マラソンの一つで、世界最多の約5万人が参加するニューヨークシティマラソン。昨年11月の同大会では、ランナーの約半数がアシックス製のシューズを履いていた。今や本格的にランニングに取り組むシリアスランナー向け市場で圧倒的なシェアを誇るアシックスだが、そこに至る道のりは平坦ではなかった。
1975年にドイツに進出するなど早くから海外市場に目を向けていたが、成果はなかなか上がらなかった。バブル崩壊後の90年代に入ると8期連続の最終赤字と、経営は危機的状況に陥る。そこで、ゴルフ用品などの不採算事業を整理し、ランニング事業に経営資源を集中した。
この方針転換の下で生み出されたのが看板ランニングシューズの「ニューヨーク」と「ゲルカヤノ」だ。欧米人の足型、走り方、骨格の研究を重ねて作り上げた自信作だったが、いざ海外で売り込む際に障害となったのは、知名度のなさだった。
欧州、米の両市場とも年商1000億円突破
転機は、海外で草の根的マーケティングを強化し始めた2000年代半ばだ。まず、世界の大都市で開催されるマラソンのスポンサーシップを加速した。99年に開始したニューヨークシティマラソンに続き、07年東京、09年パリ、12年ロサンゼルスと相次いでスポンサーとして名乗りを上げた。
店舗展開にも力を入れ、08年には海外初のアシックスストアをロンドンに出店。旗艦店クラスは「近くにランニングするフィールドのある所」(加藤克巳取締役)と立地にこだわった。たとえば、ロンドンではハイドパーク近くに店を構えたほか、14年10月にはニューヨークのタイムズスクエアに世界一の床面積の巨大店をオープンした。各店舗では、客の足型や体重分布を3次元で計測するなど、顧客ごとに適したシューズの提案にも努めた。
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