日本はいまだに成長という昔の夢を見ている。しかし大人になってまで身長を伸ばそうとは思わないほうがいい。むしろ、成熟した大人としての変化を求めるべきだ。経済成長のプロセスでこれまでは労働生産性が上がって40時間かかる仕事が30時間でできるようになったら、余った10時間分はさらに働いて、その分所得を増やそうとしてきた。
これからは、その余った10時間分は働かないという選択も十分にありえる。その時間は本を読んだり、絵を描いたり、ボランティア活動に使ったりできる。つまり、所得が増えなくとも時間というボーナスを確実にもらえる。
賃上げは貯蓄を増やし財政赤字を支えるだけ
経済成長は、現在の問題を解決する特効薬にはもはやならない。近代以前にはとにかく「飢餓の恐怖」からの解放が重要だった。そして戦後の工業化した社会では、「失業の恐怖」から逃れるため完全雇用の仕組みを追求することが求められた。そのために経済規模の拡大が必要だとされ、成長政策という格好で1950年代の米国や日本に出現した。
完全雇用(=ヒトとモノを効率的に活用する)という目的を達成するために有効だったというだけで、21世紀の現在で経済成長が何かの目標を達成するための有効手段たりえるかといえば、そうではない。
今ある問題は、完全雇用に近い状態の中で、正規・非正規で賃金の差が大きいということ。同じ仕事ならば同じ賃金が得られる仕組み作りがむしろ求められている。
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