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「他店より1円でも高かったら…」の罠 Q2 経済学×価格戦略

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「当店が他店より1円でも高かったらご相談ください」──。家電量販店に行くと、よくこのような売り文句を耳にする。

「他店より安値を訴求して集客につなげる意味合いがある」(西日本を地盤とする大手量販店)。「他店徹底比較を表明するのは、うちで高い買い物をした、とお客さんに思われたら次回から来てもらえなくなるから」(大阪地盤の大手量販店)。

狙いは「安さの徹底追求」にあるというのが各社の回答だ。素直に考えれば、家電の安値競争をいっそう加速させる要因にも思える。

安値をあおる文句が逆に価格高止まりを促す!?

しかし経済学で考えれば、まったく逆の可能性が浮上する。量販店側の意図とは裏腹に、価格を高止まりさせるというのだ。

ある量販店Aが家電の値下げを行ったら、競合店Bが直ちに追随し、同じ製品を値下げするとしよう(図表1)。値下げを行う目的は、価格面で優位を獲得し他店よりも数多く売ることにあるが、すぐ追随が起きる状況では他店を出し抜くのは難しい。値下げしてもシェアは取れず、利益が下がるだけかもしれない。

[図表1]
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競合店にすぐ追随されるとわかったA店にもB店にも、先行的な値下げを行うインセンティブがなくなる。結果的に、市場価格は高止まりし膠着状態に陥る。

これは「暗黙の協調」という、ゲーム理論で使われる考えを応用している。互いの合意がなくても結果的にカルテル価格を成立させてしまう。「他店より1円でも高かったら」という戦略が事実上、消費者を媒介として、他店の抜け駆けを防止する役割を果たしてしまうのだ。

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