4月12日の正午すぎ。山梨県都留市のリニア実験センターでは、実験線に試乗する安倍晋三首相とケネディ駐日米大使の姿があった。安倍首相はケネディ大使にリニアのすばらしさを説き、ケネディ大使は「オバマ大統領に伝える」と約束。2人の傍で説明したのは、JR東海の葛西敬之名誉会長だ。
米ワシントン─ボストン間(約700キロメートル)を結ぶ高速鉄道構想。JR東海がリニアの技術を無償提供し、日本政府が資金の半分を国際協力銀行(JBIC)経由で融資する。総工費は「まず1兆円が前提」(金融関係者)。JR東海は運営には踏み込まないが、海外でのリニア普及を通し、コンサルティングフィーや量産効果によるコスト削減を狙う。
第1弾で挙がるのが、ワシントン─ボルチモア間(約60キロメートル)だ。北東回廊が走る米東海岸では、都市部に人口が密集し輸送需要は大きい。日本と違い、山脈の起伏も少ない。
JR東海は海外ではリニアを「SCマグレブ」と称する。国内では2009年、高速鉄道を輸出すべく、専属のC&C事業室を新設。リニアでは、全世界向けにUS・ジャパン・マグレブ社と、米東海岸向けにはその子会社のザ・ノースイースト・マグレブ社(TNEM)と提携し、プロモーションする足場を築いた。
USジャパンのCEOにはリチャード・ローレス元国防次官補が、USジャパンとTNEMの両社長にはトーケル・パターソン元国家安全保障会議部長が就いている。パターソン氏は米国での有力な“葛西人脈”の一人。ローレス、パターソン氏とも共和党だが、TNEMのアドバイザリーボード議長は、元民主党上院院内総務のトム・ダシュル氏が務める。リニアで民主・共和の対立はない。
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