シャープ「アクオス・クリスタル」の乾坤一擲 「フレームレス構造」でアメリカ市場を攻める
シャープはソフトバンクとは密接な関係にあり、シーズンごとにフラッグシップモデルを提供する間柄。そこで、自信のある技術を軸にしたモデルを持ち込んだ結果、今回の提携につながった。
これまでシャープは、海外市場向けの商品展開は薄く、開発についても「日本モデルを作ってから、それをどうやって海外展開するか、という形」(澤近室長)だった。だが、共同調達モデルになるため、開発の方法は大きく変わった。基本的な設計は共通で、各国の事情に合わせた無線通信部分だけが変わる。海外のスマートフォン大手ではあたりまえの開発手法だが、国内ビジネス中心だったシャープではようやく導入されるやり方になる。
「アメリカでどういうスペックの商品を出せばいいか、なかなかわからなかったところがあります。しかし今回、フレームレス構造をはじめて見た時『これはとんでもないものだ』と感動しました。その驚きはアメリカでも日本でも変わらないはず。それをご覧いただける商品を作ればいい、ということで、あまり迷うこともなく、最終的な商品スペックは決まった」(澤近室長)という。
ブランド力不足を「フレームレス一点突破」でカバー
フレームレス構造の液晶は、シャープが数年前から開発を続けてきたものだ。この商品で初お披露目というわけではなく、技術展示会などでの展示は行ってきた。また2013年からは、フレームレスとはいかないまでも、額縁が狭い製品を「EDGEST」ブランドで製品化し、自社スマートフォンに搭載してきた。それが「フレームレス」まで至った秘密はどこにあるのか。液晶パネルの開発を担当した、システム開発部・主任研究員の前田健次氏は「秘密はトータル設計にある」と話す。
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