大ヒットで見えた鬼滅の刃「定番化」の可能性 映画は空前の動員を記録、興収200億円も視野

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そうしたなかの今回の大ヒットは、映画関係者にとってはある意味、予想通りの展開だったと言えるだろう。今年ナンバーワンともいえる期待作であり、コロナ禍の映画興行シーンを盛り上げる大作アニメとして注目されていた。

鬼にされた妹の禰豆子(ねずこ)を人間に戻すため、主人公の竈門炭治郎(かまどたんじろう)は鬼を退治する鬼殺隊に加入する ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

洋画メジャーの新作がなく、邦画のヒット作も一段落したタイミングだったこともあるが、ほぼすべてのスクリーンを『鬼滅の刃』に充てるシネコンが多かった。そのため1日に30~40回上映するシネコンもザラで、30分おきに上映、中には同時刻に複数スクリーン上映するシネコンもあった。そうしたことも奏功し、初週3日間で46億円超えという歴史的な興収記録を打ち立てた。

「名探偵コナン」のような存在になりうるのか

しかし、映画界の本作への期待は、大ヒットが想定内であった興行成績だけではない。もうひとつ重要な視線を投げかけていた。それは、『鬼滅の刃』が、『名探偵コナン』や『ドラえもん』のように、毎年劇場版が公開され、安定して高い興収を叩き出すシリーズ化が見込める作品になりうるかということだ。

ブームとなったコンテンツが、簡単に映画作品として定番化できるわけではない。過去の社会的ブームからの劇場版アニメの大ヒット作といえば、ヒット構造が近い『妖怪ウォッチ』が思い浮かぶ。

2013年に発売されたゲームソフトから、アニメや漫画などのクロスメディア展開を経て大ブレイクし、子どもたちから絶大な人気を誇った妖怪メダルなどのグッズは売り切れが続出。小学生とその親を巻き込んだ社会現象的ムーブメントとなった。そして、そんなブームの真っ只中に公開された劇場版第1弾『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』(2014年公開)は、2015年の年間邦画興行収入ランキング(集計上前年の12月も含まれる)1位となる興収78億円の大ヒットを記録した。

しかし、その後の興行収入は年々シュリンクしていく。2018年公開の『映画 妖怪ウォッチ FOREVER FRIENDS』は興行収入11.5億円、キャラクターや世界観を一新した第6作『映画 妖怪学園Y 猫はHEROになれるか』(2019年公開)は興収7.3億円と苦戦している。

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