「健全財政の打破」で世界恐慌を克服した政治家 高橋是清ならば「100兆円規模の財政出動」も

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世界恐慌にも匹敵するともいわれるコロナ危機を脱するには?(写真:sefa ozel/iStock)
1930年代の世界恐慌にも匹敵するともいわれるコロナ危機。この危機を脱するにはどうすればいいのだろうか。
このたび『日本経済学新論: 渋沢栄一から下村治まで』を上梓した中野剛志氏が、1930年代に世界恐慌から脱する偉業を成し遂げた政治家・高橋是清の思考を探る。

世界恐慌に挑んだ高橋是清

コロナ危機については、1930年代の世界恐慌に匹敵する恐慌であるという認識が共有されている。

すでに3月24日の段階で、ハーバード大学のカーメン・ラインハート教授は今回の経済危機を世界恐慌以来最悪と評し、短期的な回復は困難と述べていた(「世界経済は大恐慌以来最悪の状態」Bloomberg 2020年3月25日)。

4月9日には、国際通貨基金(IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事も、世界経済は、世界恐慌以来の悪化となるという見通しを述べている(「『世界は大恐慌以来の景気悪化』IMF専務理事が警鐘」日本経済新聞 2020年4月9日)。

もちろん、世界恐慌とコロナ危機とでは、違いもある。しかし、失業の増大、所得の減少、需要の消失、そしてデフレ圧力という点においては、同種の経済危機であることは間違いない。したがって、我々は、1930年代の世界恐慌の経験から、多くを学ぶことができるはずだ。

世界恐慌を研究した経済学者ジョン・K・ガルブレイスは、恐慌下において「肯定的に捉えられていたいかなる政府の経済政策も否定する」ような、「固定概念を打ち破る思考の偉業」が達成されると述べた。

1930年代、その「固定概念を打ち破る思考の偉業」を最初に成し遂げたのは、誰あろう、我が国の高橋是清である。

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