安倍政権の対策では、ほとんど経済成長しない 見た目は大きく見えるが効果は極めて限定的

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12月5日に安倍晋三政権は「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」を閣議決定した。総額26兆円の事業規模で、政府による財政支出は13兆2000億円(GDPの2.4%に相当)の対策となっている。これでGDP対比2%以上の財政支出が追加的に増えれば、約1%が平均的な経済成長率である日本の経済成長率は大きく高まる。このため、過去約2年冴えなかった日本株は、2020年のアンダーパフォーマンス回避が期待されるだろう。

ただ、今回の経済対策は、見た目は大きいが、実際に経済成長率を高める可能性は極めて低いとみられる。例えば、今回の対策の中では補正予算として約4兆円が計上されているが、補正予算は昨年度末にも3兆円規模で策定されており、今回の経済対策で上乗せされた分は1兆円に過ぎない。

また、2020年度当初予算分として約2兆円の歳出が計上されているが、これが2020年度の追加的な歳出拡大となるかは不明である。もともと、2020年度予算に計上する計画だった歳出分が「経済対策」として組み込まれた可能性がある。つまり、13兆円の歳出拡大といっても、実際に追加的な歳出になる分は、かなり少額にとどまるだろう。

建設業に恩恵でも人手不足、事業の執行は難航か

また、今回の対策では、災害対策関連として5兆4000億円分が、国費による歳出9兆4000億円のうち半分以上を占めており、これらの歳出の一定の上乗せで建設業中心に一部産業に恩恵が及ぶだろう。ただ、建設業は人手不足が顕著なセクターであり、予算が増えても実際に事業の執行が進まない公算が大きい。このため、消費増税の悪影響などで10月から個人消費の落ち込みがみられ始めている中で、仮に公共投資主導で政府歳出が増えても、景気下押し圧力を相殺する効果はほとんどないだろう。

今回の経済対策の効果を考える上で参考になる例は、2016年8月に今回と同じ事業規模である28兆1000億円(うち財政措置は13兆5000億円)である。この後、政府による歳出がどの程度増えたか。対策効果が本格化したのは2017年度だが、2017年度の政府支出(国民経済計算ベース)は前年比プラス1.2%であった。前年(2016年度同プラス0.4%)から、0.8%ポイント、金額にして1兆円程度政府支出が追加的に増えただけである。

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