靖国参拝は日本の戦略的利益にとって無意味 ダニエル・スナイダー氏に聞く

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--安倍政権は、河野談話と村山談話を継承すると述べました。この発言を信じますか。

「国会の議論における総理の発言、そして政権に返り咲くための選挙戦における安倍首相の発言に目を通した。2012年の衆議選挙後の産経新聞のインタビューも読んだ。安倍首相はこの2つの談話を見直し、2015年の終戦記念日に新しい談話を発表したいとはっきりと述べている。また、12月26日の靖国神社参拝後の首相発言についても注意深く読んでみた。どの発言においても、安倍首相は河野談話、村山談話における戦争責任についての重要な言葉を自らの言葉で口にすることはなかった。

私は、この問題を非常に広範囲にわたって調査してみた。村山首相は、2つの重要な論点を提示した。村山首相は、日本が侵略戦争および植民地支配を行ったことに対する責任を認めた。そして、深い遺憾の意を表すると語った。安倍首相は、村山談話の遺憾の意を表す多くの表現については口にしたが、侵略と植民地支配の責任に関する具体的な表現を口にすることはなかった。多くの人がこのことに気づいている。安倍首相が、自らこうした言葉を口にすることは決してなかったのだ。

 韓国側は「村山談話」の完全なる継承を求める

私は12月に韓国に行き、政府高官に会ってきた。日韓関係を正常に戻すために必要なものは何かと聞くと、韓国のリーダーたちが挙げたのは次の2点だ。一つは、韓国にとっては留保なしに村山談話、河野談話の言い回しを反復する、明白であいまいさがない首相自身の言葉が必要であるということ。彼らは2つの談話を見直す扉を開けたままにしたくはないと述べた。首相が首相自身の言葉で、2つの談話を継承すると言うべきだということだ。

次に、戦時中のいわゆる慰安婦に対する責任と補償についての明確な言葉が必要だということ。現在生存中の慰安婦は56人しかいない。彼女たちが亡くなる前にこうした言葉や補償を得ることは、非常に大きな意味を持つ。これは、朴槿恵大統領も個人的に強く望んでいることだろう。日韓関係を改善し、真に和解へと向かう道筋は存在する。しかし、安倍首相を見ると、首相にはこうした道筋を歩む意思も能力もないと思われる。問題は、単に彼が靖国神社を参拝したということではない。小泉首相は靖国神社に繰り返し参拝した。参拝は議論を呼んだが、小泉首相は日本の侵略と植民地支配について、村山談話と調和する言葉を使用していた。これに対して安倍首相は、靖国神社に参拝するだけでなく、村山談話の中核をなす重要な言葉を除外している。ここに彼の考えが非常によく現れている。

--これは米国による正確な評価でしょうか。

「最終的には、日本政府のこうした計算は誤りと証明されるだろう。中国でよく信じられているのとは逆に、アジアのバランスを取り戻ための米国の戦略は、中国との敵対を偽装するという手法ではないし、穏やかなけん制ですらない。『米国はアジアから退却しない。この地域は米国にとって非常重要な地域だ。米国は、戦後米国が築き上げた現状を中国が破壊するのをただ見ているだけではない』と発言することこそが戦略だ。米国は、中国と対決しようとしているわけではない。中国が作り上げた地域秩序ではなく、米国が作り上げた世界秩序の中で生きていかなければならないと、中国に理解させようとしているのだ。

日本が、アジアの安定を損なう行為をしたり、中国に過激な振る舞いをする口実を与えたりするならば、それは米国の利益にはならない。首相の靖国参拝に先立ち、中国が現状を破壊する挑発的なやり方で防空識別圏を設定したことが注目された。靖国参拝後のいま、注目されているのはこのことだ。中国と日本、どちらが悪いのか。安定を損なおうとしているのはどちらなのか。これでは利益にならない。スマートなやり方ではない。

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