JR東海社長が描く「リニア開業後の新幹線」構想 食堂車復活の可能性は?のぞみ停車駅は増える?

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──東海道新幹線の役割はどう変わる?

現在は1時間に最大でのぞみが10本、ひかりが2本、こだまが3本走っている。本数の多いのぞみが最も混んでいる。のぞみ以外を増やせる状況ではないが、大阪まで開業すれば速達列車の役割がリニアにシフトするので、ひかりやこだまを増やす余地が出る。のぞみが通過する浜松などの停車本数を増やすダイヤ改正もできると思う。

金子慎(かねこ しん)/1955年生まれ。1978年東京大学法学部卒業後、国鉄入社。1987年JR東海入社。新幹線事業本部管理部長、総務部長、人事部長、総合企画本部長、副社長などを経て、2018年から現職(撮影:尾形文繁)

――東海道新幹線に余裕ができると、食堂車を復活させる余地も出てくるのでは?

どうでしょう(笑)。「食堂車はよかった」とおっしゃっていただけるお客さまは多いが、経営的には成り立ちにくい。将来の東海道新幹線にどのくらいの余裕ができるかにもよるが、難しいのではないか。

──世界で高速鉄道に関心を示す国が増加している。新幹線の強みは?

安全、正確、快適、便利という特性がよく言われるが、車両の性能が優れているだけではない。地上設備や運行する人の訓練など、全体システムの強さが新幹線を世界トップたらしめていると思う。

──新幹線を採用した台湾では、コンビニで切符を購入できるなど日本よりも優れた部分があります。

みんなで切磋琢磨していくのが自然な姿。海外のよいところは見習っていく。

社員のやる気を引き出す力

――金子社長自身が、平成30年間でいちばん印象に残っている経験は?

当社に入社後、最初は人事部で制度や運用など、創業期の仕組み作りをしていた。その後は新幹線の運行を管理する部署で部長を務めた。人を生かすために人事部で考えた制度を、実際に現実の場面で生かす機会に恵まれた。

現場に近いところで仕事をするのは初めての経験だったので、頻繁に現場に行って、現場がどうなっているのか聞いて回った。キーマンは現場長。社員の力を上手に引き出して安全やサービスの向上で成果を挙げている現場長がいた。

そこで「現場長マネジメント発表会」を開催して、各人に成果を発表してもらったところ、参加した現場長たちがそこで発表された内容を自分の現場でも取り入れるようになってきた。全体としてよい方向に動き始めた。

社員のやる気をどのように引き出すか。そのエネルギーの出し方や方向性について道筋を引けたのはよかったと思っている。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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