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事業の特性にあわせて戦い方を変える
三菱電機のグローバル戦略 山西 健一郎 三菱電機 執行役社長 取締役

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役員とは「1年契約の契約社員」

伊藤 経営の時間軸についておうかがいしたいのですが、構造改革を含む事業戦略をお考えになるときや、社会のメガトレンドを読むとき、何年くらい先までを見据えていらっしゃいますか。

山西 会社のビジョンという意味では10年ぐらい先を見ていて、ちょうど三菱電機の創立100周年にあたる2021年に向けて、「環境ビジョン2021」というものを策定しています。これは当社の環境への取り組みを示したものです。経営数値で言うと、5年くらい先までを見ています。社長になったのがちょうど2010年で、そのとき2015年までの成長戦略を決めました。従業員の努力もあり、今のところ計画どおり進んでいます。もちろん、もっと成長させたいと思っています。

伊藤 グローバル企業と比較すると、日本企業ではトップの任期が短い傾向があります。たとえば私が過去に在籍していたGEでは、130年の会社の歴史のなかで、トップを務めた人はわずか9人しかいない。それくらい長期政権です。それがいいかどうかは別として、山西社長ご自身はどれくらいの期間、トップでいるべきだというお考えがありますか。

山西 いつも私は「役員というのは1年契約の契約社員」と言っています。そして三菱電機の考え方は、役職に応じて各人が仕事を全うすればいいというものです。つまり社長は社長の仕事をし、副社長は副社長、常務は常務、所長は所長、従業員は従業員の仕事を一生懸命するだけ。ですから、もし明日、私の身に何かが起こっても、そんなに影響はないのが三菱電機の社風というか考え方です。社長が1人で会社を引っ張っていて、社長がいないと何もできないなどということはない。それぞれの持ち場でそれぞれのメンバーが力を発揮すればいいのであって、社長の代わりはいくらでもいる。だから任期は何年であってもいい、というのが三菱電機のあるべき姿です。

伊藤 なるほど。人が入れ替わってもぶれない経営方針が確立されているんですね。とはいえ、やはりご自身で、会社をこういうふうにしてやろうというお考えもおありでしょう。

山西 それはあります。三菱電機の社長はこの数代、大体4年で代わっており、一部では「三菱電機は4年交代の会社」と思われているようですが、辞める辞めないは好き勝手にやらせていただくと思います(笑)。

次ページ事業ごとに異なるグローバル戦略
CONTENTS
特別対談 日本のリーダーが、世界で戦うために必要なこと 岡田 武史サッカー元日本代表監督 近藤 聡デロイト トーマツ コンサルティング 代表取締役社長 パートナー
特別寄稿 哲学、美学がない企業に未来はなし 石井 裕 MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボ 副所長
Top Interview 事業の特性にあわせて戦い方を変える三菱電機のグローバル戦略 山西 健一郎 三菱電機 執行役社長 取締役
GMI REPORT グローバル市場制覇に不可欠なルール形成戦略 國分 俊史 デロイト トーマツ コンサルティング ディレクター
 
GMI REPORT 外発的グローバル化のすすめ キャメル・ヤマモト デロイト トーマツ コンサルティング ディレクター
GMI REPORT グローバル経営の作法 日置 圭介 デロイト トーマツ コンサルティング パートナー
 
Featuring Deloitte Digital グローバル×デジタル化社会における 経営のイノベーション  岩渕 匡敦 デロイト トーマツ コンサルティング パートナー
結びに 困難なこれからの10年、今がまさに岐路 大崎 明子 東洋経済新報社 編集局 ニュース編集部 部長
 
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