Featuring Deloitte Digital
グローバル×デジタル化社会における
経営のイノベーション
岩渕 匡敦 デロイト トーマツ コンサルティング パートナー
デジタル化時代への対応を遅らせる根本原因
日本企業は歴史的に、図表3の「仕組み」と「製品」の領域において、業務プロセス効率化や品質の高い商品の開発生産には強みを持っているが、企業体質や人的資産・設備の高齢化・硬直化という問題を抱え、さらにデジタルの知的資産や先端技術の北米依存などがイノベーション創出の障壁となっている。また、「顧客経験価値」の領域、すなわちサービス、チャネル、ブランド、顧客接点といった部分では、伝統的な広告代理店への依存体質、流通チャネルとのしがらみ、分析力の弱さなどが新しいサービスや顧客接点を生み出すことを難しくしている。何より経営層の「変わりたくない」意識が意思決定の遅れを招いていることが決定的だ。
一方で欧米系の先進企業では、マネジメントが顧客体験にかかわる領域の重要さを認識した上で、同領域への投資を定量的な分析に基づき大胆に意思決定し、その実行はChief Digital Officer、Chief Customer Officerといった新設の役割を与えられた比較的若い世代が先端のITを駆使して推進している。日本企業との差は明確である。