Featuring Deloitte Digital
グローバル×デジタル化社会における
経営のイノベーション
岩渕 匡敦 デロイト トーマツ コンサルティング パートナー
日本企業がグローバル社会、特にアジアのマーケットで地位を確立するためには、こうした変化に向き合う必要があるが、
それは同時に、日本企業が長らく抱えてきた経営の根本問題と向き合うことを意味する。
デジタル化社会における経営戦略
近年、デジタル化が企業と消費者とのコミュニケーションチャネルを多様化させ、企業が扱う情報の量が著しく増加するとともに消費者サイドの情報との融合が起こっている。このデジタル化の流れが日本企業に新たな経営スタイルを要求していることは間違いない。果たして、どのようにしなやかに思考をシフトし、新しい潮流を制していくべきなのだろうか。
デジタル化の波
先進国ではIT化が進展しきった印象があるが、デジタル化はまだ緒に就いたところであり、テクノロジーはこれからも進化を続ける。IT化によって、社会のあらゆる事柄をデジタルデータで扱うことのできるインフラは整備されたが、そのインフラに乗るデジタルデータには進化の余地が大きく残されている。デジタル化とは人や企業が扱う情報がデジタルデータに変換され扱われることであるが、ビジネスの世界で扱われるのは従来、企業取引や物流などに関する定量的な数値情報に限定されていた。しかし、昨今のテクノロジーの進化により、個人の文章、画像、音声などを含めたより広範囲な情報を扱うことが可能になってきている。人類が生み出すデータ量は2020年までに35ゼタバイト*1、2010年の約44倍と予想されているのだが、これらのデータはITインフラの普及もあり容易に地理や時間の制約を超えグローバルに拡散していく。これは、グローバル化、特に世界のGDPの大部分が創出されるアジアのマーケットでの地位確立を急ぐ日本企業の経営にとってきわめて重要な意味を持つ。