GMI report No.3
グローバル経営の作法 日置 圭介 デロイト トーマツ コンサルティング パートナー

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日本と欧・米とでは、多事業展開する大規模な企業の収益性に明らかな違いが見られる。
理由はさまざまあろうが、1つには、自らを転換させ続ける姿勢にある。非連続に変化する環境において、日本企業が勝ち続けるために学ぶべき経営の「作法」とは何かを考える。

非連続な変化が求める「転換」

20XX年の未来を予測するレポートや書籍があふれている。明るい未来を信じられるようなものがある一方、いやでも悲観的にならざるをえないたぐいも多い。

2050年に日本のGDPが6.4兆ドルになるとの予測もあるが*1、少子高齢化による人口動態の変化を鑑み、他の条件を仮に一定とすると、その達成には、生産性を現在の約2.4倍にする計算となる。GDPの成長だけが国の発展かという問いを差し置いても、実現するにはやり方だけでなく、やること自体を変えなければならない。つまり、改善という連続的な取り組みではなく、改革や転換という非連続な行動によってのみ到達できる。

やるべき転換の1つに、産業構造転換が挙げられる。日本の今後を考える際、避けては通れないビッグアジェンダだ。付加価値や成長性の高い産業へのシフトがうまく進まない状況が続けば、日本経済の先行きが暗くなることは自明である。

このような状況を脱却するヒントを探るべくさまざまに思考をめぐらせている過程において、企業の事業転換のあり方を分析していたところ、組織特性と収益性との関係に面白いポイントが浮かび上がった。今後GMIでは、さらに分析・考察を進め、事業転換、産業構造転換についてのヒントを探っていく予定だが、本稿では経営のグローバル化という文脈における企業特性にフォーカスし、未来を議論する1つの題材を提供したい。

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