GMI report No.2
外発的グローバル化のすすめ キャメル・ヤマモト デロイト トーマツ コンサルティング ディレクター

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まだら模様の問題点

こうした部分的外資化が進む企業のまだら模様は、そのまま放置してよいものだろうか。たとえば外国企業買収の場合について言えば、買収先への自治の付与と必要最小限のガバナンスの合わせ技で、相手のやる気を保ち、きっちり成果を刈り取っている企業もあるが、多くのケースではもろもろの問題が発生している。たとえば、日本企業は外国企業の買収で資本の100%を握った場合も、経営方針について先方の自律性を尊重する傾向にあるが、一方で、ガバナンスの重要性も認識し始めており、ボード(取締役会)を通じたガバナンスを効かせたり、多くの関係者が先方の現場を訪問して現場主義的な把握にも努める。相手にしてみれば、任せてくれたと思いきや、通常のガバナンスはまだしも、入れ替わり立ち替わり責任不明の人たちが来ることには不信感を抱かざるをえないだろう。あるいは、買収先の青い企業・人材への「厚遇」が、自社にもとからいる外国人や日本人の間で不満を惹起し、やる気の低下や離職等につながる例も散見される。

また、自前拠点による海外展開の場合、各拠点がまだら模様の一要素であるローカル色の強い組織にとどまる。そのため、人材市場で魅力的な企業ブランドを構築できないことにもなりかねず、その結果として二流人材しか確保できず、戦略機能は日本人駐在者と本社頼みという状態が続く一因となる。

そもそも、まだら模様のバラバラさは、企業全体像の把握や統治を難しくする。経営陣は少なくとも、こうしたまだら模様を放置せず、真正面から見据えて、うまく手なずけることが必要だ。いや、それにとどまらずに、青と緑が相互に作用し合い、まだら模様が持つ多様性のポテンシャルをもっと積極的に活用する形の、新タイプのグローバル組織をつくり出す道を探るべきではないか。特に、「それぞれの自治」という部分最適を超えて、全面的なグローバル化に向けて青い部分を積極的に活用する方法はないだろうか。本稿の締めくくりとして、その道筋を素描してみたい。

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