GMI report No.2
外発的グローバル化のすすめ キャメル・ヤマモト デロイト トーマツ コンサルティング ディレクター

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今、多くの日系企業にとって、組織のグローバル化は喫緊の課題である。
しかし、欧米企業のように、トップダウンで一度に理想の組織へ変革させることは、現実には難しい。
日本企業にふさわしい、組織をグローバル化させる新しいアプローチについて考察する。

部分的外資化の進行

日本でも、ここ十数年の外国企業買収などの結果、本社を含めた自社のなかに、異質な人材や異質な制度を抱え込む企業が例外的ではなくなった。特に各業界のリーディング企業の間では、「部分的な外資化」を通じた外発的なグローバル化が進行している。外国人株主が増えたことも影響しているが、それよりもっとダイレクトに、企業組織のなかに、「外国人材」とともに「外資的」な「戦略・意思決定・組織」や「人事制度」などの「異質性」が「部分的」に入ってきている。そういう部分的外資化をドライバーとする外発的なグローバル化が、われわれが気づいている以上の速度と深度で進みつつある。

私は10年ほど前に、日本人中心の日本的な考え方をベースにして、日本的なものを内からグローバル化しようという内発的グローバル化を提唱したが、もはやそれは時代遅れになった。

楽天が英語公用語化を宣言し、パナソニックが国内採用よりも海外採用を明確に優先した2010年あたりになって、外資的な制度・人材の流入により、主要企業が続々と幕末の黒船に匹敵する変革インパクトを受け始めた。それは夏目漱石が批判した外発的な動きにほかならないが、日本が変革を成し遂げるには外的な刺激を生かすのが賢明ではないか。本稿では、進行しつつある外発的なグローバル化の有様を描きつつ、その将来的可能性について論じたい。

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