GMI report No.2
外発的グローバル化のすすめ キャメル・ヤマモト デロイト トーマツ コンサルティング ディレクター

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特徴と症状

部分的に外資化した日本企業の特徴を述べると、人材・戦略・意思決定・組織・人事制度など組織の原理的なレベルで、日系的な特徴を持つ部分と、外資的な特徴を持つ部分が一企業のなかに、お互いの特徴が混ざることなく、並存する状態にある。その有様をイメージしていただくために、日系的な特徴に緑、外資的な特徴に青、という象徴的な色を与えると、部分的外資化が進んだ日系企業の姿は、緑の部分と青の部分が入り交じるまだら模様である。たとえば、濃い緑(日本本社)、緑(国内子会社)、薄い緑(アジア地域の自前の拠点)、緑が少し混ざった青(欧米地域の自前拠点)、真っ青(買収先)、といった状況にある(図表1)。

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[図表1] まだら模様を構成する部分的外資化が進んだ企業

ところで、なぜまだら模様になるのか。

第1の理由は、日系と外資系の組織・人事・人材(像)は原理レベルで異なっていることだ。日系的な部分には、現場など文脈への依存性が高く、文脈は長期雇用人材の間で時間をかけて形成され学習されるという特徴がある。その場の状況(文脈)にあわせることが組織原理である。一方で、外資的な部分には、人材流動性が高いなかで、マネジメント等が戦略的に基準を設定し、基準に従って物事を動かすという特徴がある。戦略的にデザインした基準による運営が組織原理である。

個別ケースごとに、日系・外資系間での組織原理の差異の中身は異なるが、それが組織・人事の基本原理といえるようなレベルでの差異である限り、自然状態では、両者は水と油のごとく混ざり合わず、一色にはならない。

ちなみに、外資的な特徴といっても、欧米先進地域、アジアの新興国、中東・アフリカ・南米の新興国など多様であり、日系的な特徴も海外では変化するので、部分的外資化が進んだ企業は、単純に緑と青のツートンカラーというより、さまざまな色調の緑と青が存在し、それらがまだら模様を構成するようになる。

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