ビットコイン、先物上場を巡って数々の不安 雪崩のようなバブル崩壊が起こりかねない

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伝統的な銀行は、いまだにビットコイン取引所を信用していない。ウェルズ・ファーゴは今年、ビットフィネックスという取引所の送金処理を中止し、顧客は特別な手続きを踏まなければ口座からドルを引き出せなくなった。

それでも個人投資家からハイフリークエンシー(超高速取引)業者に至るまで、続々とビットコイン投資に新規参入している。

仮想通貨ファンド、ガロワ・キャピタルの共同創設者であるケビン・ゾー氏は、仮に先物市場の規模が現物市場を上回るようなら、現物価格はこれまで以上に操作されやすくなると指摘。「以前にもビットコイン先物の決済日直前に相場が高値や安値をつけ、直後に戻るといった問題があった」と語った。

雪崩のリスク

ロージアン氏によると、取引量が増えればビットコイン取引所の技術的な頑健性も問題になりそうだ。「複数の取引所間でサヤを抜こうとする超高速取引的な手法」が特に危ないという。

CBOEのビットコイン先物で価格設定に使われるジェミニ取引所と、CMEの同先物指数に反映される4つの取引所のうちの2つであるGDAXおよびクラケンは、いずれも過去にシステム障害を起こしている。

インタラクティブ・ブローカーズ・グループのトーマス・ピーターフィ最高経営責任者(CEO)は、ビットコインの不安定さが清算機関にもリスクをもたらしかねないと指摘する。

ビットコインが乱高下し、小規模なブローカーが追加証拠金を払えなくなった場合、清算機関はそのポジションを受け継がざるを得ない。それが相場変動に拍車をかけ、他のブローカーも追加証拠金を払えなくなるという事態だ。

「ビットコインが何らかの馬鹿げた理由で急騰している時にそんなことが起こったら、雪崩が起こりかねない」とピーターフィ氏は言う。

こうした様々な不安が残るため、今のところビットコイン上場に距離を置いている先物取引所もある。米インターコンチネンタル取引所(ICE)のジェフ・スプレッチャーCEOは今週、ビットコイン先物の上場を見送っていることについて「透明性が確保されていない多くの取引所で算出される指数」を扱うのは適切でないと判断した、と説明した。

(John McCrank and Anna Irrera記者)

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