「自分がADHDだと知ったときはつらかったです。でも、原因がわかったなら病気と向き合っていこうと病気についてネットで調べたり、自分と同じようにADHDに悩む人と話をしたりしました」(横山さん)
その後、東京にあこがれて上京。麻雀が趣味であったことから都内の雀荘で働き始めた。雀荘は客との距離が近い。麻雀の勉強を重ねて強くなった横山さんはここでも、客に向かって「下手くそ!」と暴言を吐いてケンカになり、上司から怒られることが多々あった。
職場でトラブルを起こしてしまうのは困る。そう思ってメンタルクリニックを受診する。そこで処方されたストラテラという薬により、思ったことをすぐ口に出してしまうような攻撃的な症状は落ち着いたように見えた。
「症状は落ち着いたのですが、薬の副作用で眠くなっちゃって。しかも、ジェネリックがないので高いんです。2週間分で1万5000円くらい。2週間に1度の診療にも2万円ほどかかってしまい、経済的にもつらくて薬も通院もやめてしまいました」(横山さん)
いけないとわかっているのに
また、横山さんはギャンブル依存症だと自覚している。「BMC Psychiatry」に掲載されているMartin A. Katzman、Timothy S. Bilkey、Pratap R. Chokka、Angelo Fallu、Larry J Klassenらによるイギリスの論文「Adult ADHD and comorbid disorders: clinical implications of a dimensional approach」(大人のADHDと併存疾患:次元的アプローチの臨床的意義)によると、「ADHD患者による物質乱用や依存症は正常な人の約2倍」とある。
「ギャンブルは強いほうなので、たいてい勝つんです。でも、負けることもあります。この5万円を使ってしまったら今月ご飯が食べられなくなるとわかっていても、競馬にぶち込んでしまうこともありました。
おカネはあるだけ使ってしまうので、貯金はできません。当時の職場の雀荘は給料の前借りができました。だから、負けておカネがなくなってしまったら給料を前借りして、それをまたギャンブルにつぎ込んでいました」(横山さん)
もう1つ、横山さんが依存していたのが性だった。セックスをしたくてしたくてたまらない。中学の頃、当時好きだった女の子と体の関係を持って以降、性欲が暴走しているという。まだ23歳という年齢を考えると、頭の中がそのことでいっぱいになってしまうのは自然なことかもしれないが、横山さんはあふれる性欲を風俗で満たす方法をとった。でも、風俗もそれなりにおカネがかかる。
ギャンブルとセックスに依存していた横山さんだが、あるとき競馬で100万円近く負けてしまう。また、なんとかセックスにこぎ着けたいと50万円ほど貢いだキャバクラ嬢からも、一度も肉体関係を持てぬまま関係を絶たれてしまった。
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