「改革のジャンヌダルク」は「傾国の魔女」に 希望の党「想定外と誤算」の果てに首相高笑い

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もちろん、「選挙は最後の3日間」といわれるだけに、あと1週間で情勢が激変する可能性もないわけではない。しかし、「よい流れは一瞬で変わるが、悪い流れを変えるのは奇跡でもない限り難しい」(選挙アナリスト)というのが永田町の常識だ。

予測通り「自民圧勝、希望失速」という結果になれば、小池氏も前原氏も責任を問われる事態となる。前原氏が民進党代表を「解任」され、合流構想が白紙に戻れば「安倍1強を倒し、政権交代可能な2大政党をつくる」という大目標は露と消えて、小池氏の代表辞任も現実味を帯びる。小池氏は7月の都議選直前に地域政党「都民ファーストの会」の代表となり、大勝利の直後に「都知事に専念」と代表を辞めた"前科"はあるが、「勝って辞任と負けて辞任では天と地の差」(自民幹部)なのは当然だ。その場合は、まさに自らのいう「政治不信の極み」と指弾されても仕方がない

「魔法」も尽き、大輪の牡丹のような散り際に?

「東京大改革のジャンヌダルク」として都知事選に圧勝してから1年2か月余り。その間についたあだ名は「首都の女帝」、「魔法使いユリー」、「緑のたぬき」、そして「傾国の魔女」など五指に余る。注目を集め続けた証拠だ。「崖から飛び降りる」と叫んで都知事選に出馬し、「都政の闇に挑むジャンヌダルク」との呼び声に「ジャンヌダルクって最後は火あぶりになるのよね」と不敵な笑みを浮かべた小池氏だが、風車にまたがって魑魅魍魎の跋扈する政界を引っ掻き回してきた魔法使いユリーには、事ここに至って「起死回生の魔法」が残っているようには見えない。

美人の姿や振る舞いを花に見立てた故事から、政界では小池氏を「立てばヒマワリ座れば牡丹 歩く姿は百合の花」と揶揄する向きもある。「いつも太陽に顔を向けて背伸びをし、座ると大輪の牡丹のように艶やかだが、百合のように強いにおいを振りまいて歩きまわる」という注釈付きだ。「政界の渡り鳥」としていつも日の当たる場所を求めて飛び続けてきた小池氏は、いつか牡丹のように散るという暗喩でもある。桜のように静かにハラハラと散らずに、牡丹は「大輪の花が突然"ボトン"と音を立てて落ちる」(自民長老)というわけだ。

22日夜の開票結果が「小池氏の政治人生初の大失敗」(同)となった場合、果たして日本人が好む「散り際の潔さ」で次の「小池劇場」につなげることができるのかどうか。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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