LINEは、楽天、アマゾンに勝てるのか ネット通販2強に対し、ガチンコ勝負を仕掛ける

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その一つがネット通販への参入だ。LINEサービスの統括責任者である舛田淳執行役員は、事業戦略発表会の中で、今秋をメドにスマホに特化した「LINEモール」を日本国内で開始すると明かした。国内ネット通販の2強である楽天とアマゾンに対し、挑戦状をたたきつけた格好だ。

LINEモールは、出店者を募り売り上げから手数料を取るモール型で、楽天と同じビジネスモデル。ただし楽天と違って、企業による出品よりも、個人間の売買を中心として差別化を図る考えだ。日本の登録ユーザーが4700万人、スマホ利用者の9割が利用するLINEが本腰を入れるとなると、楽天やアマゾンにとっても脅威になるだろう。

通販の手応えは十分

LINEには勝算がある。12年9月からLINE上で「シークレットセール」と銘打った数量限定商品の通販を不定期に開催。その売れ行きは好調で、8月に女性向けブランド「サマンサタバサ」の8400円の限定デザインバッグを500個販売したところ、数分で売り切れた。LINEはスマホアプリの中でも日々の利用頻度が高い。そこから通販へとうまく誘導できれば、爆発的に伸びる可能性はある。

LINEのプラットフォーム戦略は通販だけではない。音楽配信サービスの「LINEミュージック」を年内に開始する。詳細は明らかにされていないが、「LINEのコアバリューであるコミュニケーションのよさを生かしたサービスにする」(舛田執行役員)という。今年の秋には、ビデオ通話機能を搭載し、コミュニケーションツールとしての強さに一層磨きをかける。

無料通話・メールサービスをはじめ、LINEの現在の主力サービスは自ら市場を切り開いてきた面が大きい。が、プラットフォームを拡大するうえで、これからは既存のネット企業との勝負が多くなりそうだ。

森川社長は「年内にユーザー3億人を目指す」と語った。LINEはスマホ時代のポータル(玄関口)として、ヤフーの牙城を切り崩しつつある。そして今度はネット通販でアマゾンや楽天といったガリバーに立ち向かう。スマホ時代の覇権争いが一段と加速するのは間違いない。

(撮影:風間仁一郎)

(週刊東洋経済2013年8月31日号)

二階堂 遼馬 東洋経済 記者

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にかいどう りょうま / Ryoma Nikaido

解説部記者。米国を中心にマクロの政治・経済をカバー。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

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