そして、記載されている「会社に帰属することなくきちんと稼げる」の件ですが、これもはたから見るとそのようなよい側面やよい事例のみが見えるのかもしれません。しかしながら、サラリーマンと違って日々の資金繰りや営業といった業務をはじめ、非常に多くの事柄を自分の責任で成し遂げることが求められます。そのプレッシャーや重荷といったら、一般的な会社員とは比較にならないとも言えます。
「サラリーマンに嫌気がさした」理由はわかりかねますが、独立そのものがそのように非常に厳しい状況である以上、仮に「嫌気がさした」から「隣の芝生は青く見える」状態で1歩を踏み出しても正直、成功はできないでしょう。
会社勤務を経て独立される人も非常に多くいらっしゃいますが、ひとりの会社員として成功せずに、独立して成功した人を私は知りません。
ある程度身分も保証され、また会社という看板やブランドを背負った状態、つまり考えようによってはゲタを履いた状態でもある会社員としての業務をパーフェクトにこなせない人が、むしろマイナスしかない状態から成功するかというと、世の中、そんなに甘くありません。
したがって、会社員を経て独立される場合で非常に多いケースは、会社員時代に身に付けた専門性やネットワークといった武器をもって独立するパターンでしょう。これであれば先ほど申し上げた、経験不足をカバーすることにもなりますし、本当に評価されていたのなら、かつて勤務していた会社から外注先として業務を受託することも可能でしょう。
実はつい最近、私の友人がそのような形で独立し、最初の仕事はまさにかつての勤務先からの受注でした。いちばん身近な存在であるかつての勤務先から評価されることなく、赤の他人である世間や他社から評価されることは決してありません。
「現在の勤務先で評価されること」がいちばん大事
そしてこれは、独立ではなく転職についても同じことが言えるんですね。
いちばん最初にやるべきことは、現在の勤務先で評価されることです。これがご自身にとっての信用力につながるという意味で非常に大切なのです。
「今が嫌だから、ほかに逃げよう」。そのようなメンタリティでは何事も成功はできませんし、仮に何かの資格を取得すればサラリーマン生活から脱却でき簡単に独立して稼げるのであれば、皆やっていますよね。そんな魔法の杖は存在しませんし、仮に一時期そのような杖があったとしても、すぐに人が群がり、需給のバランスが崩れ杖の輝きは失われるものです。
したがって、平凡な私たちにできることは、まずは現在の職場や現在の仕事でキチンと経験を積み、実績を出して少しでも社内外から評価される状態を作り上げることです。言い換えると転職や独立などのキャリアアップのための修行をきちんとするということです。とりわけユキさんの場合は40代での話ですから、20代中頃までと違って、まったくの異業種でいきなり成功するという幻想は持つべきではありません。
ご自身にとっての最大の価値は、今までのスキルと経験です。少なくとも、そういったご自身のスキルと経験を生かしうる分野での資格取得や独立なりを、まずは優先して考えましょう。
その意味では、まずはご自身の価値の棚卸しを始めましょう。どんな市場や分野に対して、ユキさんとしてどのような価値が提供できるのかを考える、ということです。
なお、その際に資格取得はゴールではなく、あくまでも手段のひとつにすぎないことはこれまで述べてきたとおりですから、そのような前提で臨んでみてください。
ユキさんがご自身に埋もれた価値を再発掘し、その分野において成功されることを応援しております。
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