ロンドンの観光客はテロくらいで減らない 無差別テロが起きたロンドンのその後

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在英国日本国大使館は今回のテロ事件を受け「英国に渡航・滞在される方は目下の状況を考慮し、不測の事態に巻き込まれないよう、最新の関連情報の入手に努め、特に現場付近には決して近づかないようにする。やむを得ず、テロの標的となりやすい不特定多数が集まる場所を訪れる際には、周囲の状況に注意を払い、不審な状況を察知したら速やかにその場を離れるなど安全確保に十分注意する(大意を変えずに筆者が一部修正)」との告知を行っている。

一方で、 経済アナリストのひとりは「テロで被害に遭わないよう避けることも大事だが、ポリスライン(非常線)が張られたり、交通が遮断されたりといった理由で社員が出勤不能になるなど正常な事業活動ができないことも予想し、日頃の備えが必要だ」と一歩先を行く提言を行っている。

普段の生活を維持するべき

「テロリストに屈しない態度を示すため、普段の生活を維持するべきだ」

筆者にとっては「近所のおばさん」的な存在でもある雑貨屋の女主人は、今回のテロについて厳しい言葉でこう言い放った。日本でのおしゃべりならさしずめ「怖いからあまり外に出ないようにしようね」となるところ、ロンドンの人々の強さに改めて驚かされてしまう。

「使用中止」となったバス停を横目に観光客たちはロンドン塔に向かう(6月4日午後、筆者撮影)

今回のテロ事件でも、カンフーでナイフを持つ犯人3人組に立ち向かった中国系英国籍のジャーナリストや、パブでグラスや瓶を投げて追い払おうとした人々の話などが伝えられている。市井の人々の勇敢さの前にテロリストが屈する日が来るのだろうか。

東京では、こうした事件は海の向こうの遠い出来事のように思われがちだろう。しかし2020年の東京五輪を控えて、さまざまな外国人観光客が東京を訪れることになる。「予想外の事件」への備えは、住民にとっても必要になってくるだろう。

さかい もとみ 在英ジャーナリスト

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Motomi Sakai

旅行会社勤務ののち、15年間にわたる香港在住中にライター兼編集者に転向。2008年から経済・企業情報の配信サービスを行うNNAロンドンを拠点に勤務。2014年秋にフリージャーナリストに。旅に欠かせない公共交通に関するテーマや、訪日外国人観光に関するトピックに注目する一方、英国で開催された五輪やラグビーW杯での経験を生かし、日本に向けた提言等を発信している。著書に『中国人観光客 おもてなしの鉄則』(アスク出版)など。問い合わせ先は、jiujing@nifty.com

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