そういったことから外国の企業にもとてもオープンです。すでに日本とスイスもとてもいい関係にあり、スイスからはネスレ、ノバルティス、ロッシュ、UBS、クレディ・スイスなど、日本からも武田薬品、東芝など多くの企業が進出しています。
二重課税回避協定、社会保障協定(駐在が5年以上の人は両国での保険期間を通算して年金の受給権を得られる)なども結んで、ビジネスも行いやすい環境です。
控えめな態度は特にスイスジャーマンにみられます。みんなで共通認識をもって納得したうえで物事を進め、対立することは好きではありません。
――それでは決定までに時間がかかりませんか?
ピドゥさん:日本ではプロセスが長いので時間がかかりますが、日本とはまた異なる形です。しっかりと話し合い、コンセンサスをとったうえで進めますが、責任者がすばやく決断します。
アメリカやドイツなどはとてもダイレクトに物事を進めますが、スイスはすべての人が意見を言える環境でスムースに意見を一致させながらも、決断するときは早く決断します。アメリカと日本が対極にあるとしたら、スイスはその中間です。
リストラも相談のうえ、毅然と決断する
――若い人もどんどん意見を言うのですか?
ピドゥさん:若い人ほど意見を言わなければいけません。スイスのビジネスではイノベーション(革新)がとても重要視されます。イノベーションやアイデアを出すことは、若い人にこそ期待されるので、若い人は上司からの指示を待つのではなく、イニシアティブをとって進めます。スイスでビジネスを行うならば、上司は若い人の意見を取り入れ、話を聞かなければいけません。
――対立することも避ける文化なのですね。
ピドゥさん:ドイツ人、フランス人などは対立することもよしとしますが、スイスジャーマン、スイスフレンチを含めスイスの人は対立を避け、しっかりと話し合いをして、極力、納得して物事を進めるようにします。
たとえばある会社の業績が悪化した際には、全員に会社の現状をきちんと話をして、労働組合が集まりいちばんの解決策を話し合いました。一時期、人を減らすことも、その後の成長のためには仕方がないと判断して、労働組合で人員削減を決定したのです。
――従業員にもきちんと情報がシェアされているのですね。
ピドゥさん:スイスでは解雇することも、雇うことも早いです。2カ月で首を切ることも普通。先ほどお話した会社も再建のために解雇しましたが、結果、業績は伸びて、すぐに以前よりもたくさん雇用しました。
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