日本関連のスノーデン文書13本をどう読むか サイバーセキュリティと国際政治

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第5の文書は、2007年3月14日付けで、米国はブッシュ政権のままだが、日本は第一次安倍政権に代わっている。これによると、2005年に日米間でELINT(電子インテリジェンス)とPROFORMA(機械同士のデータリンクの信号のインテリジェンス)に関する会議が開かれ、そこであらゆる種類のSIGINTを交換することになり、米国側は偵察航空機RC-135やEP-3で収集した情報を提供し、日本側はYS-11やEP-3で収集した情報を提供したという。これらの偵察航空機は上空で電波を傍受する機能を持っている。文書はこうしたインテリジェンスの共有は「大きなサクセス・ストーリー」だとしている。

第6の文書は2日後の2007年3月16日付けで、これは沖縄のキャンプ・ハンザにあったSIGINT施設を閉鎖し、同じく沖縄のキャンプ・ハンセンに移設したというものである。キャンプ・ハンザにはいわゆる「象の檻」と呼ばれる巨大なアンテナ設備があり、地権者との間で大きな問題になっていた。SACO(沖縄における施設および区域に関する特別行動委員会)はこれを移設することで合意し、移設費用5億ドルは日本政府によって支払われた。

国際捕鯨委員会で監視された日本代表

第7の文書は、2007年7月13日付けで、これも安倍=ブッシュ政権時代に作られた文書である。その内容は2007年5月にアラスカで開かれた第59回の国際捕鯨委員会である。この会議で日本側は商業捕鯨モラトリアムを終了させようとしていたが、その動向をつかむためにNSAが何をしたのか報告した文書である。NSAが集めたインテリジェンスを米国商務省の2人、国務省の2人、そして、ニュージーランド政府の2人、オーストラリア政府の1人が読み、それらが役に立ったはずだと指摘している。

この文書が示しているのは、同盟国であろうと、外交交渉の場ではインテリジェンス活動の対象となるということである。純粋な民間企業の交渉事に政府のインテリジェンス機関が暗躍するのはルール違反である。米国その他の国々のインテリジェンス機関がそうした活動をしてきたという指摘も多い。しかし、国際捕鯨委員会を外交交渉の場と見なすならば、こうしたインテリジェンス活動は日常的なものと言わざるを得ない。

第8の文書は、2007年10月23日付で、米国側はブッシュ政権のままだが、日本側は福田政権に代わっている。それまで六本木のハーディー・バラックスという米軍施設にNSAのカバー・オフィスがあったという。それを虎ノ門の米国大使館の中に移した。日本駐在のNSA本体は横田基地の中にあり、大使館の中のオフィスはサテライト・オフィスという位置づけになる。

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